上記で表皮についてご説明させていただきました。
次の層は「真皮」になります。真皮とは表皮の内側に存在する層です。
表皮と真皮は先程出てきた基底膜という膜によって繋ぎあわされています。
また、コラーゲン線維(膠原線維)とエラスチン線維(弾力線維)が真皮を形作っています。
ロープ状のコラーゲンがネット構造を作ります。次に弾力性のあるエラスチンがサポートすることで表皮を下から支えています。
皮膚の大部分を占める真皮、また、表皮の10から15倍もの厚さがある「真皮」の特徴はなんといっても「水分」です。真皮自身の重さの約60〜80%はお水でできています。
お肌のみずみずしさはここからきているんですね。
そしてその水分を蓄えているのが、ヒアルロン酸等のグリコサミノグリカン(酸性ムコ多糖類)からなる基質です。この水分を多く含みゼリー状のものが、先程のコラーゲン線維(膠原線維)とエラスチン線維(弾力線維)の網のすき間を満たしながらお肌にうるおいと柔軟性を与えていくのです。
どうですか?少し皮膚というものについて理解出来てきたんじゃないでしょうか?
続いては、お肌自体のハリや弾力やうるおいの元と言われるコラーゲン、エラスチン、基質を生み出している「線維芽細胞」やヒスタミンを分泌しアレルギー反応(花粉症や蕁麻疹など)を引き起こす肥満細胞など、異物に対して働くマクロファージなどがありますが、お肌を美しくするのに大きく関わりを持つ線維芽細胞についてご説明したいと思います。
◆用語解説
・コラーゲン
人体の全タンパク質の約30%を占める成分で、皮膚の他には腱(けん)や骨や血管など体中に存在している。
細胞が正常に働くために様々な活動をしているのがコラーゲン。
・コラーゲン線維/膠原線維(こうげんせんい)
真皮内にあって表皮を支えている線維状のコラーゲン。
・エラスチン
エラスチン線維(弾力線維)の主要成分であり、血管壁や靭帯(じんたい)、腱、肺、皮膚部分等の弾力性が必要とされる組織に多く見られるタンパク質になる。
・エラスチン線維/弾力線維
複数のコラーゲン線維が交わっている部分に絡みついて、ネット構造を補強するコイル状のタンパク質である。
エラスチンが主成分で弾力性が非常に強くなっていて、伸縮性能は同じ太さのゴムの5倍以上もある。
・基質【きしつ】/礎質【そしつ】
真皮内のコラーゲン線維とエラスチン線維の間を埋めているゼリー状の物質。
・ヒアルロン酸
基質に含まれるグリコサミノグリカンの主成分で、真皮の水分保持のカギを握る存在。
・グリコサミノグリカン/酸性ムコ多糖類
多糖類の一種で、真皮中の基質に特に多く含まれる。水を捉まえる力が非常に強く、真皮の水分や肌の柔らかさを保つために無くてはならない成分。
・線維芽細胞【せんいがさいぼう】/フィブロブラスト
基質のあちらこちらに浮かぶようにしてコラーゲンやエラスチンや基質を作り出し、分解処理する細胞。細胞分裂を行って自ら増殖する。
・肥満細胞/マスト細胞
炎症因子を体内に放ち、アレルギー反応を引き起こすたちの悪い細胞。
・マクロファージ/大食細胞
体に入り込んだ細菌などの異物を食べるようにして自分の中に取り込み(貪食作用)で無害化する有り難い細胞。
綺麗な素肌に線維芽細胞?
線維芽細胞ってあまり耳にしないと思います。
この線維芽細胞ですが、基質の中に点々と浮かんでいるのです。
また、すごく働き者でコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などの基質を作成するだけでなく、古くなってしまったコラーゲン、エラスチンの分解処理まで華麗にこなすのです。
このことからわかるように「線維芽細胞」が働いてくれるおかげで私達のお肌事情は常にリフレッシュした状態で綺麗に保っていられるのです。
しかし、この線維芽細胞が外部の影響(紫外線や老化等)でどんどん弱体化すると新しいものを手際よく作ることが困難な状況に陥ります。
そうなるとどうなるかわかりますか?そう、生産量が分解する量に比べてどんどん少なくなり追いつかなくなってしまうのです。
すると、真皮全体のコラーゲンやエラスチンの量が減少することとなります。
ヒアルロン酸などの基質を作成能力も低下の一途を辿るので、お肌のうるおいはますます減っていくことになるわけです。
しかも、古くなったものを分解する速度も年齢と共に遅くなる傾向があり、古い組織がいつまでも真皮に滞在していまう状況が訪れてしまいます。
そうなると表皮を支えることが困難になり、お肌自体の弾力やハリがなくなっていくことでよくいわれる「法令線」のようなシワやたるみが出てきてしまうのです。
上記の説明で気づいた方もいらっしゃると思いますが、線維芽細胞自体の老化やダメージを遅らせたり、小さくすることで、その力を存分に発揮してもらい若々しく綺麗な素肌を保つ秘訣であると言えるのではないでしょうか。
では、そのために何かできることはあるのでしょうか?また、何が大切なのでしょうか?
◆用語解説
・法令線【ほうれいせん】
鼻と上唇との間にあり、鼻の横からハの字に皮膚を走る溝のことを指します。女性の天敵!
ビタミンCと紫外線
線維芽細胞の劣化が色々な問題を引き起こすのは前述でお話しした通りです。
では、その劣化を最小限にくいとめるために必要なあれやこれやを少しだけお話したいと思います。
ここでよくある質問で
「なら、線維芽細胞?に効く化粧品買って使えばおっけーっしょ!」なんてことにはなりません。
化粧品は皮膚や身体に効果がありすぎることがあってはならないと薬事法で決まっています!
なぜか?それはそうなると「薬」に分類されてしまうんですね。
さらにいえば、線維芽細胞に直接効果をだす技術はまだ確立されてないのが現状です。
美容液がなんでも効くってわけではないんですね。
では、何も対処しようがないのか?そういうわけではありません。
「光老化」この言葉を聞いたことはありますか?
この光老化ならかなりの確率で防ぐことが可能です。
この光老化ですが、どういう意味なのでしょうか?
「光老化」の意味、それは紫外線にさらされることによって起こる、お肌の老化のことを指します。
これをよく現わしているのが、一日中外で作業する人や標高の高い土地に住む人の顔です。
深いしわなどが刻まれている姿をみたことはありませんか?あれが「光老化」の影響なのです。
光老化の影響が受けやすい部位は光と言っていることからもわかるように光があたる場所のことを指します。たとえば顔だったり、首だったりです。
逆に服でカバーされている部分の腹、胸、お尻などの皮膚は顔や首などより綺麗だなと感じたことはありませんか?
そうです。その光が当たっていない部分こそが本来のあなた自身の光老化ではなく、年齢だけ影響している自然な老化の肌なのです。
さて、この光老化をどう抑えていくのか。
あなたの生活習慣を一度考えてみてください。現代人のPCの前に居座る続ける行為、これも健康にはよくないですし、軽い運動は必ず取ってほしいです。
ただその際の紫外線対策はもちろん必要です。
また、食事に関しても少し考えてみてほしいと思います。
鶏の手羽先のゼラチンなどの良質なたんぱく質は、お肌にとってとても大切なものです。
これはアミノ酸として吸収される行為なので、積極的に摂取してほしいですね。
それと大切なのがビタミンCです。コラーゲンを構成するアミノ酸にヒドロキシプロリンというものがあります。体内でアミノ酸のプロリンから合成されるのですが、その際に働く酵素を活性化するために、ビタミンCが必要不可欠になってくるんですね。
でも具体的に紫外線を知ってる方ってなかなかいないと思います。なので紫外線と紫外線によって起こるトラブルに焦点をあててみましょう。